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コーチン・2

コーチン滞在2日目。

私が泊まっていた安宿の2階に、宿泊客のための食堂がある。

ここでディプの奥様・アロマ先生による料理教室が行われた。

「また会えましたね。今度はいつ来るのかしら?そう言ってましたよね」

挨拶する私。

「ふふふふっ」と笑っている先生。

 

料理に必要な材料は全て切ってボールに入れている。

その事前に用意した材料を使って、先生が調理手順を見せていくスタイルだ。

興味深かったのは、玉ねぎの代わりにフライドオニオンを用意していたこと。

時間短縮のためだという。

玉ねぎ炒めはカレー作りで一番時間が必要だからだ。

 

フィッシュカレー

いかのスパイス炒め

エビのスパイス炒め

茄子のスパイス炒め

ココナッツライス

 

1時間後に料理が完成した。

フィッシュカレーをココナッツライスにかけ、副菜を混ぜながら食べる。

新鮮なスパイスの芳香が私の鼻を抜けていく。

素晴らしい香りだ。

アロマ先生の料理は油が控えめで、胃に軽くて食べやすい。

私が南インド料理、特に家庭料理が日本人の味覚に合う、と確信できたのは5年前にアロマ先生に出会ったからだ。

やはりインド料理は家庭料理が美味しい、と今回も再確認できた。

 

先生に料理の現地名を聞き、ノートに書きとる。

私も自分の店で調理経験を積み、南インド料理への理解が以前より深まっている。

今回は前回よりも専門的な質問ができ、有意義な時間を過ごした。

 

夕方になってから新市街エルナクラムへ出向き、精力的に食べ歩きを行う。

前日は庶民的な食堂でミールス(カレー定食)を食べたので、今日は高級ホテルでミールスをオーダー。

そして軽食堂で、マサラドーサ(マッシュポテトが入った米のクレープ)を食す。

インドカレーといっても料理教室、庶民的な食堂、高級ホテルとそれぞれに味わいが違う。

それを少しでも理解するための食べ歩きである。

 

 

 

コーチン滞在3日目。

午前中は料理教室の2回目。

 

ビーフチリフライ

チキンマサラ(汁気のないカレー)

パラックパニール(ほうれん草とカッテージチーズのカレー)

キャベツのトーレン(ココナッツ炒め)

レモンライス

 

「ほうれん草のカレーは北インド料理なのでは?」

調理を終わった先生に私が質問する。

「インド人が大好きなのよ、地域に関係なくね」と先生の回答。

インド全域で食されている人気メニューとのことだ。

 

ビーフチリフライは珍しい牛肉の辛い炒め物。

ヒンドゥー教では牛肉は禁忌の食材。

キリスト教徒が多いケララ地方ならではの料理である。

レモンライスも本場で久しぶりに食べ、自分が店で作るものと比較ができた。

 

料理教室の後、海岸に向かって散歩に出向いた。

私の宿から徒歩10分で海岸である。

フォートコーチンの海岸沿いには遊歩道が設けられていて、地元客、観光客たくさんの人が集まる観光スポットとなっている。

すぐそばでは定置網漁が行われ、獲れた魚は直近の売店で売られている。

観光客目当ての土産物屋も並んでおり、お祭りの縁日のような賑やかな場所である。

 

 

海岸に行く途中に中級クラスのホテルがあり、門の前で掃き掃除をしている男がいた。

よく見ると見慣れた顔である。

 

「あっ、マルコス!?」

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