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カルナタカ州

2月2日。

コーチンを出発して、カルナタカ州で最初に訪れた町はマイソール。

カルナタカ州は19年ぶりの訪問だった。

前回訪問時の記憶は、全くない。

バスは8時間の長距離移動で、夜21:30に現地到着。

宿を探す前に腹ごしらえが先だ。

 

遅い夕食をバスターミナルの食堂で取っていたら、若い男性3人組に話しかけられる。

地元の若者ではなく、旅行者だった。

「今日の宿は決まっているの?」

彼らに聞いたらYESという。

 

これから予約している宿に行くというので、私もついて行っていいかと聞いてみた。

「えっ?俺たちの泊まるホテルは立派なところじゃないけれど、いいの?」

驚く若者たち。

「いいの、いいの。ノープロブレム」

ホテルに空室があったので、部屋を確保することができた。

私は安宿で予約したことがない。

いつも何とかなっている、と妙な自信がある。

 

翌日。

マイソールの街を歩いていると、やたらとBARの看板が目に付く。

久しぶりに昼酒でも楽しみたい気分になってきた。

ふらりと入ったBARは立ち飲みで一回ごとに清算して酒を買うシステムだった。

店内は昼間なのに、結構客で混みあっている。

私はキングフィッシャーのラガービール大瓶を頼んだ。

 

一人の男が近づいて話しかけてきた。

「お前日本人なのか?ふーん・・・マ〇ファナ買わないか?」

いきなり、である。

「いりません」

きっぱり断る。

「なんだ、チキン野郎だな。毎週この曜日に俺はここに来ている。ブツが欲しかったら声をかけてくれ」

男がすぐ立ち去ってくれて助かった。

この手の連中と関わるとロクなことがない。

 

夜は宿近くのレストランでミールスを食す。

味は洗練されていて美味しかった。

しかし見た目や味で、ケララやタミルで食べてきたものと大きな違いは感じなかった。

 

2月4日

困ったことに旅が始まってから1週間しか経っていないのに、カレー以外の食事をしたくなってきた。

マイソールから州都バンガロールに行く途中、チベット人の村バイラクッペに立ち寄る。

この村はインドで一番最初にチベットの難民キャンプが作られたところだそうだ。

欧米人の訪問が多く、チベット仏教の黄金寺院の参拝が目当てである。

私の目当ては、寺の周辺にあるチベット料理店だった。

 

インドのスパイス料理に疲れたら、チベット料理へ逃げるのが一番だ。

中華料理や欧風料理のレストランもあるが、値段が高いし当たり外れが激しい。

チベット料理の店は値段もそれほど高くないし、どこで食べても外れたことがない。

 

私が一番食べたかったのは、チベット式うどんのトゥクパ。

スープはシンプルな塩味で、具材には野菜と牛肉の小間切れが盛られる。

箸で麺を持ち上げ、ズルズルとすする。

レンゲで熱いスープをすくい、口へ運ぶ。

汁気のある麺料理が、たまらなく美味しい。

 

私の知る限り、伝統的なインド料理で汁気のある麺料理を見たことがない。

インドは手食文化ということも関係ありそうだ。

 

蒸し餃子のモモ。

これも日本の中華料理屋で食べるものと大差がなく、とても食べやすい。

 

チベタンブレッド、いわゆる蒸しパン。

余計なスパイス感がなく、シンプルな味わい。

毎日のスパイス料理で胃が疲れていたので、チベット料理は非常に美味しく感じてしまう。

 

 

この後の旅ではチベット料理の店に行く予定はなく、ずっとカレーの食事になるのが予想された。

気分がリフレッシュできたし、また明日からカレーを食べまくろう!

と、ここまでは順調だったのだが・・・

州都バンガロールで、排気ガスで喉をやられて咳が出始めた。

 

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